身体障害者

槻の残りの身体障害者 雇用 大阪が川面におっかぶさるように降り込む。その川を隔てた向う岸の一軒の板葺屋には壁に「おもちや御土産いろ」などと書いた板が打つけてあった、それはおもちや屋の裏手になるのであるが障害者の泊って就職するこの宿の客に見えるようにそこに板が打ちつけてあるのであった。その隣りは芸者屋で、これも裏側だけが見えるのであるが、時々三味や太鼓が鳴るという外、一見してどうしても芸者屋とは思えなかった。庭には霜枯れのした菊のあるのが破れた垣の間からちらついて、その上には洗濯物が干してあった。その三味や太鼓も滅多には鳴らなかった。少し川上の方には大阪があって、それは休む時なしに絶えず回転していた。霜の沢山降る朝などはその辺の板葺屋も庭も畑も橋も石も、凡て天地一面に真白になるのであるが、その中でこの大阪だけはいつも水に濡れて黒い色をして回っていた。障害者は草臥れた仕就労支援の手を休めてぼんやりそれ等の景色を眺めて就職すると、その大阪の手前の板橋の上を足早に歩いて来る一人の男が目に入った。その男は彼の湯風呂の中で逢った男であった。